「あらしのよるに」に導かれて…

 

2009年。さて、新作何にしようかと、図書館に行き、いつものように、絵本選びをしていて、以前からいつかお芝居にしたいと思っていた絵本。

 再び、手に取った時、二人でどうもこの絵本が気になり、「やっぱり…これいいなー」「私もこれ」“今”演りたい!
 何気に調べたら、私達の劇団も「あらしのよるに」も、同じ15年目を迎える…。これは、何かの縁…?導き…?巡り合わせを感じずにはいられなく、“今”演りなさい!と、後押しをされたような気がしてなりませんでした。

 

そして、2009年から「あらしのよるに」「あるはれたひに」を、幼稚園などで公演していました。

その中で、この小説に出逢い、衝撃を受け、2010年、“ぐるーぷえるむの森15周年記念公演”として、小説『あらしのよるに』より、舞台化しました。えるむ初の大作になりました。

 

この年、作者きむらゆういちさんから、私たち2人に、東京での公演(椿山荘)のお話を頂き、大宮に引っ越したメンバーが音響をし、3人で公演しました。夢を見ているんじゃないかと思ったほどです。
  
その上、この年の札幌劇場祭では、“サプライズ賞”を受賞し、とても励みになりました。私達が地道に活動してきて、“思いは通じる!”と信じ、お芝居に対して妥協しない細かい拘りまで観て下さって、それが、自分たちの独りよがりではなく、沢山の舞台を観てきている審査員の方々に伝わったという思いが溢れ、二人で大泣きしました。
 観客の皆様にも、沢山の温かい感想を頂き、またまた大泣き。感動でいっぱいになりました。

 

2011年の再演では、何と!作者“きむらゆういち”さんが、東京から駆けつけ、観劇して下さり、夢の様なひとときを過ごせました。

 

このお話に出逢えたことは、運命だったと思うほど、愛する作品です。この物語を生んで下さった“きむらゆういち”先生に感謝でいっぱいです。

 

「あらしのよるに」を愛する気持ちは、とても大きく、これからの私たちのライフワークにしていきたい…そう二人で語っていましたが、闘病中のレオは、2012年5月…他界してしまいました。
レオは、他界する5日前にも「あらしのよるに」の舞台に立っていました。もう言葉もうまく話せなくなっていたレオが、「あらしのよるに」の公演を楽しみに、“絶対舞台に立つ!”…と。
レオが、本当に愛した作品です。